「ナチ・ドイツの場合、主な敵はユダヤ人だった」
 (石田勇治『ヒトラー・ドイツとナチ・ドイツ』(講談社現代新書、2015、296)

そうか??


このテーゼ(ごく一般的に流布している見方)を批判的に吟味する必要がある。


ヒトラー・ナチスのイデオロギーの表面にとらわれた規定・見方ではないか?


ヒトラー・ナチスがユダヤ人・ユダヤ民族・ユダヤ人種を激しく攻撃しているとき、
実現しようとしたことは、ユダヤ人・ユダヤ民族・ユダヤ人種の絶滅だったか?


ヒトラー・ナチスが、ユダヤ人・ユダヤ民族・ユダヤ人種を攻撃している言説の文脈は?


ヒトラー・ナチズムの思想・運動・体制が実現しようとしているものは何か?

主たる目標は、ドイツ民族の繁栄、「ロシアおよびその周辺を支配」した世界強国、東方大帝国ではないのか?

ヒトラー・ナチスの主要な目標に抵抗する諸勢力、その一番明確で徹底したのが、マルクス主義者、共産主義者ではなかったか?
         それは、ソ連では、ボルシェヴィキとその支配体制
         これが主要な敵であった。



ヒトラー・ナチスの主要な敵を『ユダヤ人」とみることは、ヒトラー・ナチスの言説・イデオロギーの表面にとらわれた見方ではないか?